こんにちは、ホスピタリティ弁護士の長屋です。
今日は「名義株」について少しだけ。
「名義株」とは、株主名簿上の株主(名義株主/名義貸与者)と出資金の払い込みをした人(名義借用者)とが一致していない株式のことをいいます。簡単にいうと、他人名義を借りた株式のことです。
名義貸与者と名義借用者のうち、どちらが真の株主といえるのでしょうか。
判例は、「他人の承諾を得てその名義を用い株式を引き受けた場合においては、名義人すなわち名義貸与者ではなく、実質上の引受人すなわち名義借用者がその株主となるものと解するのが相当である」(最判42.11.17)としました。
つまり、実際に出資金の払い込みをした人(名義借用者)を真の株主と判断したわけです。
ところが、真の株主が株主名簿に記載されていないため、様々な場面で問題が生じます。
名義株主が「俺が株主だ」と主張しはじめることが考えられます。
当事者は名義株になった経緯を知っているかもしれませんが、名義借用者が名義株であることを立証しなければなりません。
これが相続の場面であれば大いに問題になりますし、権利行使の場面で株主の地位をめぐって紛争に発展するリスクもあります。また、このような紛争リスクは、M&Aの場面において、会社評価のマイナス要因とされます。
そこで、できるだけ早期に株主名簿や確定申告書別表二を書き換えておく必要がありますが、どのように「名義株」を整理すればよいのでしょうか。
次回に続く。