ホスピタリティ弁護士の長屋です。
ご無沙汰しております。
さて、さっそく今回のテーマを少しだけ。
最近、「民事信託」という言葉を耳にしますね。
どのような制度なのでしょうか
(まだ勉強中なので自分の整理のために)。
信託とは、委託者が土地や金銭などの財産を受託者に移転して、委託者の設定した目的に従って受託者が受益者のために信託財産を管理や処分する制度です。
少し敷衍すると、委託者と受託者とで信託契約を締結し(遺言、自己信託等もある)、委託者の財産を受託者名義に移します。ただし、委託者の財産が受託者のものになるわけではなく独立した財産(信託財産)となります。
この信託財産を受託者が信託の目的に従って管理・処分し、そこから生じる利益を受益者に享受させます。
そして、信託に終了事由が生じると、信託を清算して信託財産を指定された者に承継させます。
信託は一般に「商事信託」と「民事信託」に分類されますが、法律で分類されているわけではなく、「営業(営利目的)」か「非営業」かで分けられています。
「商事信託」については、信託業法で、信託の引受けを行う営業として行う場合は内閣総理大臣の免許を受けなければならないなど厳しい要件が課せられています。要するに、営利目的で反復して受託者になれるのは信託銀行などの会社に限られ、一個人が誰彼かまわず受託者になれるというものではありません。そして、当然、商事信託には信託報酬など相応の費用がかかります。
一方で、民事信託は「家族信託」とも言われており、ご家族などの自分に近い人を受託者にすることが多いといえます。
高齢者・障害者のために成年後見制度や遺言相続ではカバーしきれない場面を補うものとして活用が期待されています。また、相続対策として事業承継信託なども利用されています。
民事信託の大まかな類型としては次のようなものが挙げられます(※)。
1 高齢者福祉型信託(遺言信託、遺言代用信託など)
2 障害者福祉型信託(親なき後支援信託)
3 福祉型後見支援信託(任意後見支援信託)
4 受益者複数家族信託(受益者連続福祉型信託、受益者複数遺言信託)
5 未成年者養護信託
6 家産承継型信託
7 死後事務委任型信託(死後事務委任型信託、死後事務管理型信託)
8 事業承継信託、事業信託
※公証人遠藤英嗣「新しい家族信託」参照
次回、代表的なものを取り上げます。