こんばんは,ホスピタリティ弁護士の長屋です。
いよいよ夏本番という感じですね。今朝も朝から蝉の鳴く声が響き渡っていました。暑いですが元気出していきましょう。
さて,今回は競業避止義務についてです。
競業避止義務とは,簡単に言えば,「勤務先と同じ仕事(商品・役務・地域・流通等が競合する仕事)をしちゃいけないよ」ということです。
競業避止義務については,会社法では,「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」には内容を開示して株主総会の承認を得なければならないとされていますし(法356条1項1号),従業員も信義則上当然に同義務を負うとされています(労契契約法3条4項参照)。
これは在職中の義務であり,同義務に違反すると,退職金不支給(規定が必要)や損害賠償責任の対象にもなります。
では,退職後はどうでしょうか。
経営者としては,従業員が退職後,自分と同じ商売をしたり,同じ仕事に就いたりしたら,ノウハウや営業秘密を利用される可能性があるため非常に困ります。一方で,退職者としては,憲法上も職業選択の自由が保障されているのだからどんな仕事に就こうが自由ではないかということになります。
結論としては,退職後については,当然に競業避止義務を負わせることはできません。それでは,経営者としては,どういう規制をしておけばよいのでしょうか。
次回に続く。