こんにちは,ホスピタリティ弁護士の長屋です。
少しご無沙汰しています。8月も来週で最後ですが,まだまだ暑さは続きそうですね。でも,少し気が早いですが,冬は例年よりも寒くなるようですから,この暑さも名残惜しく感じるかもしれません。
さて,生活保護制度について,少しだけ。
生活保護制度は,憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を実現するために国が整備した制度です。
生活保護は世帯単位で行うことを前提としており(生活保護法10条),世帯全員の資産や能力を利用しても最低限度の生活を営むことができない場合に,生活保護制度を利用できます。また,扶養義務者による扶養(民法752条,877条)は生活保護法による保護に優先するため(生活保護法4条),扶養義務者が扶養できない場合にのみ同制度を利用できるとされています(ただし,急迫した事由がある場合には,必要な保護を受けることが可能)。
生活扶助基準額は,例えば,ご夫婦(高齢者)を想定すると12,3万円くらいでしょうか。また,住宅扶助としてプラス5万円くらい上乗せされますし,医療扶助として診察,薬代がタダになるため基準額以上の恩恵があるかもしれません。
役所は保護の申請を拒否できませんので,資産や扶養義務者などを調査した上,保護相当ということになれば,生活扶助基準額から収入額(公的年金,就労所得など)を控除した金額が保護費として支給されます。
生活保護は,年金を受け取っていても上記基準額以下であれば受給できますので(もちろんアルバイト収入があっても),生活に困窮したときは最後のセーフティネットとして覚えておくといいかもしれません。
ただし,働けるだけの能力があるのに受給していたり(不正受給),保護費で覚せい剤など薬物を購入し逮捕されたり,医療費がタダであることを理由に不必要に薬を処方してもらって転売したりする輩がいるのも残念ながら事実です。きちんとしたセーフティネットとして利用される方が冷たい視線にさらされないようにしてほしいものです(生活保護を受けている人が真面目に働いている人よりも贅沢している姿も見かけます)。