「ストーカー規制法」と「DV防止法」について、少しだけ。
条文の確認程度ですが・・・
それぞれ正式名称は「ストーカー行為等の規制等に関する法律」と「配偶者からの暴力の防止及び被害者保護に関する法律」と少し長々しいですが,条文数としては16条,30条と比較的読みやすい分量といえますね。
まず、ストーカー規制法は,「つきまとい等」や「ストーカー行為」を禁止しているわけですが,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」(第2条)が必要になりますので,恋愛感情等(要するに「好き」という感情です)がなければ同法での規制はできないこととなります。
また,ストーカー行為の対象としては,特定の者だけではなく,その配偶者,直系・同居の親族,特定の者と密接な関係を有する者まで含まれています。
一方で、DV防止法では,「配偶者からの暴力」とは「配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とされています(第1条)。また,現在も「配偶者」である必要はなく,離婚後において,元「配偶者」からの暴力が継続している場合も含むとしています。また,事実婚,事実離婚をしている場合も含みます。
ここで,誤解をしやすいですが,夫婦間だと「DV防止法」,夫婦間以外だと「ストーカー規制法」という区別があるわけではありません。夫婦間であっても,「ストーカー規制法」は夫婦間を除外していませんので,要件を満たせば,「警告」(第4条)「禁止命令」(第5条)などを求めることができるのです。
夫婦間の「DV防止法」では,裁判所に「保護命令」申立てをして,裁判所の審理を経て,「退去命令,接近禁止(子への接近禁止もあります),連絡等禁止」などの「保護命令」が下されます。
判断主体が裁判所ですから相手方に与えるインパクトは弱いかもしれません(ただし,命令が出ると裁判所から警察本部長等に通知しますので,その点での抑止力はあります)。この点,「ストーカー規制法」の判断主体は,警察署長等(公安委員会,警察本部長)になりますから,最初から相手方に強いインパクトを与えることとなり(誰しも警察へ呼び出されるのは嫌ですから),抑止力が高いといえるかもしれません。
「DV防止法」は主に暴力に対するものですが,「ストーカー規制法」は暴力という訳ではありませんので,例えば,別居中の夫婦間での「ストーカー行為」がある場合には,「ストーカー規制法」による対応を検討することが考えられましょう。
次回,少しだけ続きを。