会計帳簿って?計算書類って??

ホスピタリティ弁護士の長屋です。

今回は、少し細かいところを整理してみます。

会社法では、株式会社に会計帳簿や計算書類の作成義務及び保存義務が課せられています(第5章)。

会計帳簿は「閉鎖の時から10年間」(ほとんどが会計期間満了時が閉鎖時といえるでしょう)、計算書類は「作成時から10年間」の保存義務が課せられています(432条2項、435条5項)。

 

そもそも会計帳簿や計算書類と一口で言いますが、どのような書類なのでしょうか。

会計帳簿は、計算書類及びその他附属明細書の作成の基礎となる帳簿をいい(会社計算規則59条3項)、仕訳帳、総勘定元帳及び各種の補助簿(現金出納帳、手形小切手元帳等)などを指します。さらに「会計帳簿に関する資料」としては、伝票、受取証、契約書、信書などがあります。

一方、計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表を指します(法435条、計算規則59条1項)。

これらの会計帳簿や計算書類は、会社の業務・財産状況を表す重要なものと言えるでしょう。

そこで、株式会社の業務や財産状況に関心がある利害関係人には次のとおり請求権が認められています。

すなわち、閲覧・謄写請求もしくは閲覧・謄本抄本の交付請求です。

 

会計帳簿は、営業秘密が含まれることも多いため、少数株主(議決権の100分の3以上)に限られますが(債権者は認められない)、営業時間内ならいつでも閲覧・謄写を請求することができます。ただし、請求の理由を明らかにしなければならず、詐害目的や競業関係がある場合には閲覧・謄写請求が認められない場合もあります(法433条2項)。

一方、計算書類は、取締役会や定時株主総会で承認を得なければなりませんし、定時株主総会の日の1週間(取締役会設置会社2週間)前の日から本店5年間、支店3年間備え置かなければならない書類です。

計算書類に関しては、株主だけでなく債権者も営業時間内ならいつでも閲覧・謄本抄本の交付を請求することができます。

会社が上記請求に従わない場合には、株主や債権者は裁判所に対し提出を命じるよう閲覧等の請求することができます(法434条、443条)。

 ご自身が株主であったり、債権者であったりする場合は、これらの書類から何か有益な情報を得ることができるかもしれません。