こんにちは,ホスピタリティ弁護士の長屋です。 残暑はまだまだ続きそうですが,朝晩の風は秋っぽくなってきた気がしませんか。
さて,今日は,以前ご説明したDV防止法に基づく保護命令についての補足です。
ご説明が足りなかったところがあったかもしれませんので追記しておきます。
保護命令とは,配偶者からの「身体への暴力」を防ぐためが,裁判所が申立人に近寄らないよう命じる決定です。
決定内容としては,①接近禁止命令(6か月間),②退去命令(2か月間)があります。 どのような場合に保護命令を申し立てることができるかといえば,「身体に対する暴力」又は「生命等に対する脅迫」を受けた者が,「その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」と規定されています(法10条)。
つまり,要件としては,「暴力や脅迫(暴言)を受けた者」が「今後,さらに重大な危害を受けるおそれが大きいこと」が必要になります。
さらに,前記①②に付随して,③子への接近禁止命令,④親族等への接近禁止命令,⑤電話等禁止命令を求めることができますが,あくまで①②の実効性を確保するためのものですから,これらを単独で求めることはできません(同時に申し立てるか,①②の命令が出されていることが前提です)。
そして,申立ての際に,どうして③から⑤が必要なのかを説明しなければなりません。
保護命令申立は,被害者本人しか申立てることができませんので,親族や子どもが代わりに申し立てたり,代理することはできません。一方で,夫婦関係が解消していても(離婚後でも),離婚「前」の暴力等に基づいて同命令を申し立てることはできます(離婚「後」の暴力等は対象外です)。
最後に,事前にしておかなければならないことは,配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)もしくは警察署(生活安全課など)でDVについて相談しておくことです(もしくは,公証人役場で暴力等があった旨を陳述し,それが真実であることを宣誓した宣誓供述書を作成して申立書に添付する方法もあります)。
警察署等では,①配偶者から受けた暴力等(脅迫含む),②今後,身体的暴力により危害を受けるおそれがあること,③子への接近禁止を求める事情(同命令を求める場合),④親族等への接近禁止を求める事情(同命令を求める場合)を伝え,措置(保護,情報提供)を講じてもらいます。
保護命令は相手に与える影響が大きいため(例えば,自宅からの退去となれば,通勤に支障を来したりしますし),お互いに話し合いで解決できれば一番いいのでしょうが,男女間,夫婦間の紛争は感情的になりやすくエスカレートしますので,大事に至らないよう申立てを検討することも必要でしょう。
以上,補足も含めて追記でした。